行事 ~ 一期一会(いちごいちえ)~

~ 一期一会 ~ 出会いを大切にする

これまで幾たび会って居ようとも、これから先何度会う事になろうとも、今日のこの日は今日一度限り、そのような大切な時に感謝する気持ちでもてなすと云う、主としての心得が『一期一会』の精神です。

お寺の住職を『和を尚(なお)す』と書き和尚(おしょう)と呼びます。『尚』という文字には「継続」や「向上」という語彙が含まれ、『和尚』とは「より良い和みの場を作り続ける」仕事の名前となります。お寺の仕事は葬儀供養ばかりではなく、現世を生きる人がより良い時を過ごせるよう和(なごみ)の場を用意する事も大切な仕事です。そのためにこそ『一期一会』の教えは大切な事であると考えています。光明寺和尚の仕事として、常に『一期一会』の心得を胸に、訪れる皆様をお迎えしたいと考えています。

仏の慈悲の光(光明)で遍く(あまねく=広く)世界を照らし出す事を願い、新しい一年が始まります。光明寺では元旦から三日の間、檀信徒の皆様が今年一年を無病息災に過ごせるようにと守り札にご祈祷させていただき、新年のご挨拶の際にご祈祷しました守り札をお配りしています。

一般の方々からの年明け厄除け供養のご依頼も承っておりますので、日時などをお問い合わせの上ご予約ください。

May this merit extend universally to all so that we together with all beings realise the Buddha Way.
(願わくは、この功徳をもって、あまねく一切におよぼし、我らと衆生と、みなともに仏道を成ぜんことを)

お釈迦様の誕生を降誕会(ごうたんえ)と呼び仏教においては大切なお祝いとされております。一般に降誕会は「花まつり」と呼ばれて親しまれる方が多いと思います。お釈迦様の誕生日は4月8日とされますがこれは中国暦のお話であり、日本ではグレゴリオ暦の4月8日から月遅れの5月8日までの期間に降誕会を執り行う寺院が多いようです。

光明寺では第十五世住職伊澤紹徹和尚にはじまり、以後代々の住職に育まれ種類と数を増やしてきた牡丹が丁度この時期に見頃を迎えます。約40種類400株の牡丹が咲き誇るなかで文字通りの「花まつり」として、毎年4月29日を中心に「ぼたん祭り」を開催して降誕会をお祝いしています。

期間中オカリナの演奏会や音楽祭などのイベント、旬の味覚竹の子ご飯の販売も行っております。また予約制でランチタイムに精進料理を味わう催しも行っています。

令和6年『ぼたん祭り』

ご先祖様が迷わぬように8月13日の「迎え盆」の日に光明寺では墓地の灯篭にろうそくの灯りを燈します。盂蘭盆会(お盆)の英訳のひとつに「Feast of Lanterns」という表現がありますが、それは直訳しますと「ランプの宴」となります。まさにこの光景を英訳したものなのでしょう。

また16日の「送り盆」の日には、本堂においてこの一年に仏様となられた御霊を供養する「新盆供養」が営まれます。供養に来られた方には一年の内その日にしかお見せしていない十王経の世界を描いた掛軸をご覧いただいております。仏教の教えと民間信仰が融合した十王経の世界観は現代においても『地獄』という言葉として見聞きする事が多いかも知れません。こうした機会に改めて十王経の世界に触れてみるのも良いと思います。

令和元年の盂蘭盆会(うらぼんえ)~ 迎え

令和元年8月13日 今年もまたお盆の季節になりました。この時期には在世の親族の元に、ご先祖様の御霊がお帰りになると信じられています。『迎え火』は、お帰りいただくご先祖様が道を間違えないようにと現世において灯す標(しるべ)です。

光明寺では13日の夕暮れ時、墓地から本堂、そして山門へと続く道筋に蝋燭の灯りを燈し、迷わずご先祖様が現世に戻りそれぞれの家に帰れるようにその道筋を照らします。

今年の8月13日は、その直前まで「地獄の窯の蓋が開く」と俗に言われるような猛暑と日照りが続いていましたが、当日は夕方突然の雨に見舞われて蝋燭の炎が消されてしまうというアクシデントが有りました。

しかし夕暮れまでには有志の方々の奮闘により無事送り火を灯す事が出来ました。心より御礼申し上げます。

訪れた皆様からも、「雨が降って少し涼しくなって良かった」であるとか、「打ち水したみたいで綺麗」などと「災い転じて」福となるようなお言葉もいただき感謝に堪えません。

陽が暮れる頃になると、光明寺にお墓のあるご家族が提灯を片手にお寺を訪れ、初めに本堂で提灯に火を貰い足元を照らしながら墓地へと向かいます。

墓地の入り口には『彼の世とこの世の境』を守る地蔵堂があり、道に迷わぬ様にと念じながらご先祖様が待つお墓に向かいます。そしてご先祖様が眠られるお墓を清めてから、ご先祖様と共に家へと帰ってゆきます。

このようなお盆の習慣は、親から子供へ、子供から孫へと代々引き継がれて現在まで続いています。

私達はご先祖様の姿を見る事は出来ませんが、お寺を訪れお墓にお参りする事で亡き人を、ご先祖様を感じる事が出来ます。それは同時に、やがて三途の川を渡り「彼の世(あのよ)」に旅立つ定めの自らにとっても、年に一度兄弟や子供、そして友人等に迎えて貰えるのだという「安心」へと繋がるのでは無いでしょうか。

お盆のご供養はご先祖様の供養で有ると共に、現世に生きる者に「安心」とは何かを問いかける行事です。

十王経とは

亡くなられた人を裁き六道輪廻への転生を司る10尊(尊い10の存在)を10王とよびます。亡くなられた日から7日ごとに7王が審理を行い魂の行方を定めます。つづく3王はそれぞれ100日目、1年目、2年目にあらためて魂の救済について審議するとされています。現世においてそれぞれの裁きの日に合わせ供養を行うのは故人の罪の軽減を祈っての事です。掛け軸の絵には10王により裁かれる者の姿が描かれています。10王のなかでも閻魔大王の名前は多くの娯楽作品などにも登場しており知らない人は殆どいないと思います。

十王経は中国を発祥として日本に伝わりました。民間で広く信仰されており仏教に宗派や地域により多様性に富んでいます。絵などに描かれる地獄の姿も元は中国から伝来したものに日本で追加、改変を行ったものも少なくありません。三途の川・賽の河原・奪衣婆(だつえば)や懸衣翁(けんえおう)などがそれにあたります。

裁きの日 十王 本地(仏) 審 理
初七日(7日目・6日後) 秦広王 不動明王 殺生について取り調べる。
二七日(14日目・13日後) 初江王 釈迦如来 偸盗(盗み)について取り調べる。
三七日(21日目・20日後) 宋帝王 文殊菩薩 邪淫の業について取り調べる。
四七日(28日目・27日後) 五官王 普賢菩薩 妄語(うそ)について取り調べる。
五七日(35日目・34日後) 閻魔王 地蔵菩薩 六道の行き先を決定する。
六七日(42日目・41日後) 変成王 弥勒菩薩 生まれ変わる場所の条件を決定する。
七七日(49日目・48日後) 泰山王 薬師如来 生まれ変わる条件を決定する。
百か日(100日目・99日後) 平等王 観音菩薩 六道輪廻のうち「三悪趣」とよばれる「地獄道」「餓鬼道」「畜生道」に行く事が定められた者の再審を行い救済の道を開く。
一周忌(2年目・1年後) 都市王 勢至菩薩
三回忌(3年目・2年後) 五道転輪王 阿弥陀如来

大晦日の夜、新年を間近に控える時間、お札を「お焚き上げ」する灯りの中で鐘楼に上り読経を始めます。お唱えを終えたのち祈りを込めて梵鐘を撞き、一年の穢れを払います。除夜の鐘は檀信徒を問わず光明寺を訪れてくださった皆様に、新年への願いを込めて撞いて頂けます。本堂内においてはひきつづき新年のご祈祷をはじめさせていただきます。

一般に除夜の鐘は108の煩悩を振り払うために撞くと言われますが、一年の無事を感謝し、新年への思いを胸にそれぞれの思いで撞いてください。なお光明寺では大晦日の夜、寒さしのぎの甘酒なども振舞っております。是非一度、足利市の指定文化財である鐘楼に上がり除夜の鐘を撞きにいらしてください。

 

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